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敬倫塾からの提言

高校時学力測定 大学入試で活用
新テスト2010年秋にも試案 推薦・AO増が背景  2009年3月15日号

 高校段階の学力を測り、大学入試などに活用するための「高大接続テスト(仮称)」を、高校や大学の関係者が集まって研究し始めた。実施方法などを含め、10年秋の試案とりまとめを目指す。接続テストは学力低下が指摘される大学生の質確保につなげる狙いもある。ただ、導入には、さまざまな課題があり、大学入試センター試験の存続も含めた議論になりそうだ。
 持続テストは、大学で学ぶ基礎学力が備わっているかなどを客観的に測るため、高校在学中の実施が考えられている。今後、対象学年や実施回数、科目数、試験範囲、難易度等が検討されるという。
 接続テストを検討する背景の一つに、面接や書類審査を中心にするAO入試や、推薦入試で入学する学生が増えたことがある。文部科学省の調査では、一般入試での入学者の割合は、97年度の72%から08年度は56%まで低下した。
 一方で、AO入試を実施した大学等から「学力低下が著しい」と指摘され、06年度では6割の大学が高校教育の補習授業等を行っていた。(後略)
(朝日新聞 平成21年2月8日朝刊より)

 かつて、日本は、アジアで一番の技術水準が高く、国民は最も勤勉だと言われていた。しかし、現在では、インド・中国・台湾・韓国等の技術水準が格段に向上し、また、高教育を受けようとする人の割合もどんどん増加している。一方、日本では、早期から難関私立中学を目指す者の割合は増加しているが、公立中学・公立高校に進学した者たちの学力不足は大きな問題となっている。多くの私立大学が早めの学生確保のため、AO入試や推薦入試による入学者を増やしたが、ひど いところでは、中学時代のことから指導しな くてはならないという事態もあるようだ。以前のように、大学が専門性の強い高教育を施すことができなくなっている。このような大学の質的低下を食い止めることは急務である。さもないと資源をもたない日本の将来は、更に暗いものとなってしまうだろう。
 また、小・中・高と好きな事を第一にし、コツコツ勉強するという習慣を身につけることができない者がどんどん増え続けている。こうした人達が、責任ある仕事をやり通すことができるだろうか。学生時代のスポーツ・芸術活動への参加は、将来、その方面に進む者を除いては、本来の勉強をしながら行うことが望ましいのではないだろうか。きつい仕事や、期日までにしなければならない仕事はいっぱいあると思う。自分の技量を充分に知り、計画を立てて高校生活を送っている者は少ない。劣悪な環境でも生き残ることができるものは、強い生命力を持った品種だけなのだ。
 敬倫塾の指導スタッフは、テストや入試に役立つことだけではなく、どんな時代にでも逞しく生きていけるような考え方を教えていく必要を感じている。
敬倫塾塾長 加藤敬志
2009年3月15日号