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敬倫塾からの提言

大学受験予備校 浪人生は激減 就活支援に力 2009年11月15日号


 大学受験の河合塾が、大学生のシューカツ(就職活動)支援に取り組む。入学時も、卒業時も、予備校のお世話になる時代が来た。
(中略)
 大手予備校が就活対策に力を入れ始めたのは、大不況で就職情勢が悪化し、「就職支援を求める学生が大幅に増える」との読みがあるうえ、少子化で予備校の最大の顧客だった浪人生が激減しているからだ。
 文部科学省の学校基本調査によると、浪人して入学した大学生の数は1994年度の約19万人が最多。しかし、その後は年々減り続け、今年度はピーク時の半分にも満たない約8万人に落ち込んだ。
 予備校の市場規模も縮小の一途だ。矢野経済研究所によると、学習塾・予備校の市場規模は02年度が9920億円だったのに対し、09年度は9140億円に落ち込む見通しという。 (後略)
 (朝日新聞 2009年10月23日朝刊)
 
私が注目したいのは、次の2点である。
@ 浪人の数
 約19万人(1994年度)→約8万人(2009年度)
A 倍率
 大学入試の倍率 2〜3倍
 就職試験の倍率 200〜300倍

@浪人生の数が何故、これほどまでに激減したのか。理由は2つあると思う。その1つは、景気の悪化である。そのため、医学部等の超難関大学を目指す者以外で、2浪、3浪する者は大幅に減ったと思われる。また、高校生時代の自分の成績を考えてみて、浪人しても望みの大学には入学できないと思って進学を諦める者も増加しているようだ。また、もう勉強したくないという者も増えていると思う。
 もう1つの大きな原因が、各大学が生き残りをかけ、早めに優秀な生徒をとるために、推薦による合格者の割合をどんどん高めていることだ。
 私立の高校に進学した人達は、公立高校に進学した人達に比べ、通知表で良い成績をおさめることが簡単だ。その為、今年も素晴らしい大学に推薦入学した人達が何人かいる。
 問題なのは、難関公立高校に進学し、部活動だけで毎日明け暮れている人達だ。自分が何故、難関公立高校に入学したのかを、どうか思い出して欲しい。自分がもっていた才能を3年間で台無しにしてしまう人も多い。難関公立高校の生徒で成績の悪い者は救って貰えないという現実を早めに知っておかねばならないと思う。
 
A予備校の就活対策の活発化は何故進んでいるのか。その原因は3つあると思う。
 1.浪人生激減の為、活路を「就職活動」の為の講座に見出そうとしている。
 2.不景気で、どの企業も新卒者を慎重に選ぼうとしている。
 3.無気力な学生、目的意識の少ない学生が増加傾向にある。
 
私は、浪人を全く否定しようというわけではない。一生懸命頑張ったにもかかわらず、あと少しで合格できなかったというのなら、再挑戦もいいと思う。しかし、高校時代、コツコツ勉強していなくて、やっと3年生の夏頃から勉強という生徒は多い。当然のことながら、希望の大学に入学できなくて浪人。やっと入学できた大学でも、コツコツ勉強しないで、2年、3年が過ぎていく。目的意識が低いため、大学生時代にきちんとした勉強をしていない。だから、面接時に、これといったものも持っていない。当然、いい就職先にはありつけない。
 大切なのは、「目的意識をもった不断の努力である」と私は言いたい。
敬倫塾塾長 加藤敬志
2009年11月15日号