新学習指導要領に伴う大学入試の変化

先月までは中学校の新学習指導要領に伴う、中学校の教科書内容の変化について述べさせて頂きました。今月は高校での新学習指導要領に伴う変更について触れさせて頂きます。

既にご承知の方もいらっしゃると思いますが、3月24日に発表されたように、新中3生は、次年度高校進学後に新学習指導要領に伴う科目変更が発生し、大学入学共通テストでは新教科として「情報」が加わることになりました。

以下は3月24日に発表された文書の一部を掲載します。

出題教科

新学習指導要領に対応し、令和4年4月から高等学校等において実施される教科に関し、令和7年度大学入学共通テストからは、普通科、専門学科及び総合学科に共通する各教科のうち、国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語及び情報の7教科を出題の対象とし、それぞれの教科の必履修科目及び選択科目の中から出題する。

〈中  略〉

地理歴史

出題科目は『地理総合、地理探究』、『歴史総合、日本史探究』及び『歴史総合、世界史探究』の3科目とする。『地理総合、地理探究』は「地理総合」及び「地理探究」の内容を、『歴史総合、日本史探究』は「歴史総合」及び「日本史探究」の内容を、『歴史総合、世界史探究』は「歴史総合」及び「世界史探究」の内容を、それぞれ出題範囲とする。   

また、公民と組み合わせた科目として、『地理総合、歴史総合、公共』を出題する。『地理総合、歴史総合、公共』は「地理総合」、「歴史総合」及び「公共」の内容を出題範囲とする。

(注1)『地理総合、歴史総合、公共』の出題範囲(地理歴史及び公民の必履修3科目)のうち、いずれか2科目(「地理総合」及び「歴史総合」、「地理総合」及び「公共」、「歴史総合」及び「公共」)の内容の問題を選択解答させる。

( *出題科目の選択方法 )

出題科目の選択方法は以下のとおりとし、地理歴史及び公民で一つの試験時間帯とする。

・『地理総合、地理探究』、『歴史総合、日本史探究』、『歴史総合、世界史探究』、『公共、倫理』、『公共、政治・経済』及び『地理総合、歴史総合、公共』の6科目から最大2科目を選択させる。

・ただし、『公共、倫理』と『公共、政治・経済』の組合せを選択することはできない。

・また、『地理総合、歴史総合、公共』で選択解答した問題の出題範囲の科目と同一名称を含む科目の組合せを選択することはできない。(同一名称を含む科目の組合せとは、『地理総合、歴史総合、公共』の地理総合と『地理総合、地理探究』、『地理総合、歴史総合、公共』の歴史総合と『歴史総合、日本史探究』及び『歴史総合、世界史探究』、『地理総合、歴史総合、公共』の公共と『公共、倫理』及び『公共、政治・経済』の組合せをいう。)

(例)『地理総合、歴史総合、公共』で「地理総合」及び「公共」を出題範囲とする問題を選択解答した場合、『地理総合、地理探究』、『公共、倫理』及び『公共、政治・経済』を選択できない。

( 検討の考え方 )

新学習指導要領では、5科目(「地理総合」、「歴史総合」、「地理探究」、「日本史探究」、「世界史探究」)が設定されており、これらのうち「地理総合」及び「歴史総合」が必履修科目とされ、必履修科目の学習を基に選択科目を学習することとなっている。 大学・学部によっては地理歴史に関するより広範な素養が求められることから、必履修科目「地理総合」と選択科目「地理探究」を、必履修科目「歴史総合」と選択科目「日本史探究」及び「世界史探究」を、それぞれ組み合わせて出題する。また、歴史系科目から2科目を選択できるようにする。また、高等学校において

多様な履修の実態があることを踏まえ、地理歴史及び公民の必履修3科目で構成する『地理総合、歴史総合、公共』を出題する。

公 民

出題科目は『公共、倫理』及び『公共、政治・経済』の2科目とする。『公共、倫理』は「公共」及び「倫理」の内容を、『公共、政治・経済』は「公共」及び「政治・経済」の内容を、それぞれ出題範囲とする。

また、地理歴史と組み合わせた科目として、『地理総合、歴史総合、公共』を出題する。

『地理総合、歴史総合、公共』は「地理総合」、「歴史総合」及び「公共」の内容を出題 範囲とする。

(注1)※地理歴史の「注1」と同じ。

( *出題科目の選択方法 )

※地理歴史の「*出題科目の選択方法」と同じ。

( 検討の考え方 )

新学習指導要領では、3科目(「公共」、「倫理」、「政治・経済」)が設定されており、これらのうち「公共」が必履修科目とされ、必履修科目の学習を基に選択科目を学習することとなっている。

大学・学部によっては公民に関するより広範な素養が求められることから、必履修科目「公共」と選択科目「倫理」及び「政治・経済」を、それぞれ組み合わせて出題する。

また、高等学校において多様な履修の実態があることを踏まえ、地理歴史及び公民の必履修3科目で構成する『地理総合、歴史総合、公共』を出題する。

なお、『公共、倫理、政治・経済』については、大学及び高等学校等の関係者の意見を踏まえ、出題しない。

〈中  略〉

情 報

出題科目は『情報』の1科目とする。

『情報』は「情報Ⅰ」の内容を出題範囲とする。 また、情報で一つの試験時間帯とする。

( 検討の考え方 )

新学習指導要領では、2科目(「情報Ⅰ」、「情報Ⅱ」)が設定され、これらのうち「情報Ⅰ」が必履修科目とされている。 また、「未来投資戦略 2018―「Society5.0」「データ駆動型社会」への変革―(平成30年6月15日閣議決定)」により、「義務教育終了段階での高い理数能力を、文系・理系を問わず、大学入学以降も伸ばしていけるよう、大学入学共通テストにおいて、国語、数学、英語のような基礎的な科目として必履修科目「情報Ⅰ」(コンピュータの仕組み、プログラミング等)を追加する」とされている。このため、必履修科目「情報Ⅰ」の内容を『情報』として出題する。

報道で大きく取り上げられているのは、新教科『情報』ですが、実は大きな変更があるのが、中学校での『社会』である、『地理歴史』です。新科目として「歴史総合」が登場しますが、歴史での受験を考えた場合、今までは「日本史B」・「世界史B」という別科目となっていた入試科目が『歴史総合、日本史探究』、『歴史総合、世界史探究』という2科目を1科目に統合した入試科目、つまり世界史にも日本史内容、日本史にも世界史内容が多く含まれた科目になるということです。「歴史総合」で扱うのは“近現代史”の内容です。従来のセンター試験、そして今年より実施された、大学入学共通テストでも“近現代史”の比重は高いのですが、今後は顕著に、そして、総合的な歴史理解を確認する問題に変わってきます。

新中3生の皆さんは、1学期に大正時代以降の歴史を学習しますが、その内容が、高校進学後に非常に重要なものになることを認識しておきましょう。(本校 鈴木)