2025年度の新課程による共通テスト

文科省から7月30日、2025年(2024年度実施)の新課程入試について、「共通テスト実施大綱の予告」が公表されました。これは3月に発表していた科目案を踏襲したもので、現行と比べ、情報を新設、地歴・公民で科目を全面改訂、理科で試験枠を統合などが行われます。

今月は、地歴・公民の改訂について触れていきます。

地理歴史・公民の変更点

指導要領の必履修科目である「地理総合」「歴史総合」「公共」に選択科目が組み合わさった5科目と、3分野の必履修科目のみで構成した1科目の計6科目。ここから最大2科目を選択することになります。

以前にも述べましたが、「歴史総合」は日本史と世界史の近現代史の融合分野になります。そのため「歴史総合、日本史探究」あるいは「歴史総合、世界史探究」であっても両方の要素が入ってきます。学習指導要領上の標準単位数を見比べても、現行の「日本史Bまたは世界史B=4単位」から新課程の「歴史総合(2単位)+ 日本史探究または世界史探究(3単位)= 計5単位」となり負担は増えてきます。公民もこれまでの「倫理=2単位」「政治・経済=2単位」に「公共=2単位」が加わり、計4単位で負担が増えます。そのため「公民にも4単位相当の試験科目を」ということで2012年に設置された「倫理、政治・経済」が無くなります。必修科目である「地理総合、歴史総合、公共」はその3分野のうち2分野を選択して解答することになります。

2科目受験の場合の選択方法は複雑になりますが、次の点を確認しておきましょう。まず1つは「地理総合、歴史総合、公共」(必履修3分野科目)が入るかどうかになります。

◎「必履修3分野科目」を含まない場合
↑大半の受験生がこれになると予想されます。

⇒ 組み合わせはかなり自由になりますが、「公民科目から2科目」だけ不可になります。

【例】「公共、倫理」と「公共、政経」の 2科目は不可。ほかはOKで地歴科目から2科目も可能になります。

◎「必履修3分野科目」を含む場合

⇒「3分野科目」で選択する2分野とは違う分野から1科目を選択して3分野を網羅する形になります。

【例】「地理総合、歴史総合、公共」で地理総合、歴史総合を選択解答するなら、もう1科目は「公共、倫理」か「公共、政経」を選択することになります。

なお、「歴史総合、日本史探究」と「歴史総合、世界史探究」の2科目を選んだ場合は「歴史総合」が重複してしまうので、それぞれ異なる問題が出題されてきます。

以前にも触れたように、地理歴史・公民の負担は増え、歴史総合の学習内容である近現代史は今まで以上に重要になってきます。実際、今年の3月に実施された公立高校入試でも、A日程B日程の両日程ともこれらの近現代史の出題が続いています。現在の中3生の皆さんは改めて、2年生の終わりから1学期までに学習してきた明治時代以降の歴史については注意してください。                              (本校 鈴木)