新中学1年のお子様をもつご家庭の皆様へ
(1)英語の学習は大きく変化している。
私が中学1年生だったときの英語がどんなだったか聞いて下さい。
これはペンです。 This is a pen.
あれは本です。 That is a book.
この2つは、初めて英語を学校で習った時のものです。
自分の近くにあるものは「this」、少し離れたところにあるものは「that」で、近くにあるものが何であるかを英語で言うことから始まりました。ところが、今の英語は、私が中学3年生に習ったものが「会話中心」ということででてきます。おまけに、小学校時代から英語の単語を色々と覚えてきているという前提で、最初から驚くほど多くの単語が教科書にあふれています。中学ではいろいろな名詞(人や物につけられた言葉が中心)が教科書に出現しますが、ほとんどの生徒が、それらを英語で書くことができません。あるものを英語で言うことができても、それをアルファベットを使ってどう書けばよいかというルールは全く教えられません。「フォニックス」という言葉を聞いたことがありますか。これは、初めて英語を習う人達が、どのようにして言葉を覚えていくかを指導するものですが、例えば、平仮名の「あ」が片仮名の「ア」となるなんて簡単なものではありません。
子供たちにとって、発音を聞いただけで、どのようにアルファベットを並べていいかわかるなんてことはあり得ないのです。小学校時代にたくさんの言葉、主に名詞を習ったのですが、それらが教科書に、当たり前に知っているような単語のように出現します。このことは子供達にとって大きな負担です。
また、会話がどんどん重要視され、こういった場面ではこの様に表現するということを教えられますが、文化の違いから、そういった発想がよく理解できないことがあります。今の日本では、昔の様に、英語を学問として教えるのではなく、コミュニケーション能力を高めることを主眼しています。定期テストでは、リスニング力(聞く力)と状況に応じて話す力が中心になってきましたが、文章の内容や理解(読む力・書く力)も以前と比べて、かなり難しくなってきています。私が見ている限り、お子さん達の英語力の差は、以前と比べて桁はずれに大きくなってきています。中学2年生になっても、もっと言うと高校2年生であっても、中学1年生の文法が定着していない人の割合が高くなっています。苦手になった英語を得意にするのには、多くの時間を必要とします。国語・理科・社会・数学に比べ、英語が一番学力差が激しいと言えます。
(2)算数は嫌いでも、数学は得意になれる
中学から学習する数学は、算数と全く同じとは言えません。小学校のときは、単位の換算等を暗記のような方法で学習したかも知れませんが、数学では「ものの考え方」をきちんと学びます。ほとんどの物事は、どうしてそのようにすれば(考えれば)よいかがわかると、興味がわいてきます。
例えば「多角形の内角の和」の公式があります。「n角形の内角の和は180〫×(n-2)」ですが、どうしてそうなるかを指導します。n角形には頂点がn個ありますが、1つの頂点から引ける対角線は何本あるでしょうか。n-3本です。どうして3減るのでしょうか。ある頂点を選ぶと、自分自身と、その両隣の頂点に引いた線分は対角線となりません。ところで、1本の対角線をひくことにより、多角形は2つの部分に分かれます。2本目の対角線をひくと、もう1つ分けられた部分がふえます。つまり引けた対角線が1本なら2つの部分に、2本なら3つの部分に、・・・・n-2本ならn-3+1=n-2個の三角形に分けることができます。三角形の1つの内角の和は180〫ですから、n角形の内角の和は180〫×(n-2)となるのです。
このように、数学では、いろんな公式がどうしてできるのかを指導していきます。しかし、こういった指導ができる教師はそんなにたくさんいるとは言えません。週に80分程度の個別指導塾でこのようなことを学ぶのは難しいでしょう。敬倫塾では、数学の指導時間が週に120分あるから可能です。解き方を覚えるだけでは、数学は面白くなりません。数学の面白味を体験するには、数学を教えることが好きな教師のいる塾を見つけなくてはなりません。それを見つけたらきっと数学が好きになります。
(3)国語は感性で読んだらダメ
国語という教科だけは、学校のテストの成績と、模擬試験や入学テストの成績が、他教科と比べて大きく異なります。とは言っても、語句の意味や文法、漢字の書き取り等については全く同じです。大きく異なるというのは、「文章の理解」です。定期テストの読解問題では、授業で使われた教科書を題材にしたものが多いです。こういった問題で高得点をとるには、授業中に担当の先生が、どのように取り扱ったかということをしっかり覚えていなければなりません。先生がどんなことを吸収してもらいたいと思っていたのかの確認は不可欠です。そこには先生の主観が入る場合があります。ですから、学校での授業を積極的な姿勢で聞いていたかが高得点をとれるかどうかのポイントです。ところが、模擬試験や入試では、今まで見たことがないものを題材とし読解問題が出ます。それらで高得点をとるためには、「あなたはどう考えるのか」ではなく「客観的に考えて、どう答えるのが正解か」をつかみとらねばなりません。自分の体験から正解を出そうとすると、多くの場合、不正解となります。つまり、自分の経験を基にしたり、自分ならこう考えるという解答ではなく、誰が考えても納得できる正解を作らなければなりません。敬倫塾では「初めて見る題材」についてどう取り組むかということを指導しています。多くの塾が国語を指導していません。1週間に120分、国語を指導する塾はなかなか見つからないと思います。国語は一番指導しにくい教科であり、国語を指導したい人もほとんどいません。国語の指導者の多くは、国語が好きで、読書量も多く、文章を正確に読む力をもっています。しかし、この様な人達は、自分で正解を見つけることは得意なのですが、読解のポイントがよく分からない生徒や、読書が好きではない生徒を指導することは苦手です。国語は特に言葉の使い方をしっかりマスターすることが重要です。「接続詞」「明るいイメージの言葉」「暗いイメージの言葉」「類義語」特に注目して文章を読むくせがつけば、読解力は飛躍的につきます。国語の指導に注力している塾は少ないと思います。そんな時は、自分に合う参考書を見つけることです。本屋さんに行って見ましょう。1冊のいい本にめぐり合うのにはおよそ3時間以上かかると思いますが、手に入れて勉強することを勧めます。
(4)理科は理系大学に進む大事な教科
小学校の時に比べ、理科は格段に難しく、学習することも増えてきます。物理・化学・生物・地学の4つの分野に分かれますが、理系の大学に進学したいと思うなら、最も得意にしておきたい分野は物理で、次に化学です。生物は、理学部・工学部以外に進学したい人向けです。
理科は、社会とともに試験直前の暗記科目と思う人がいますが、それは大きなまちがいです。生物では、暗記する内容の事柄が多いですが、物理と化学は、高校で学ぶことの準備となります。中学では数学と物理・化学の関係はそんなに深くありませんが、高校では、たびたび数学の知識が必要となります。理科も社会も、塾で一斉指導を行うことは容易ではありません。しかし、社会に比べると理科は一斉指導がし易いと言えます。試験直前だけでなく、毎週60分位きちんと指導をしてくれる塾を見つけることをお勧めします。実は、私は中学のとき、物理・化学の分野が好きではなかったのですが、高校のとき、特に物理に授業がよく理解できなくて、驚くような成績をとったことがあります。この原因は、中学時代の勉強の仕方がまちがっていたことにあります。物理は、原理というものを大切にします。なるほどそういうことだったのかという感激を中学時代に味わっていれば、きっと、高校での物理もよく理解できたと思います。私が中学生の頃、理科を教えてくれる塾なんかありませんでした。しかし、高校時代に物理を理解するための良書に出会い、ピンチを切り抜けることができました。化学についても、良書との巡り合いが助けとなりました。
とかく、塾で指導を受けるのは、英語・数学だけだと思われがちですが、今では、個別指導塾の数が増え、理科の指導を受けることも容易になっています。また、理科を好きにしてくれるいい参考書もたくさんあります。理科を指導してくれる塾が見つからなかったら、本屋さんに行って見つけましょう。自分の力を向上するための武器は早いうちに装備しておくことです。
(5)社会(特に歴史)は文系大学に進む大事な教科
現在、理系の大学の授業料は、国公立と私立では大きな差がありますが、文系のそれは、理系に比べれば小さいです。私立の文系の入試科目は、英語・国語・社会または数学の3教科のところが多いです。ここで、社会はほとんどの大学で日本史または世界史としています。中学で学ぶ社会は、歴史、地理、公民の3つに分かれますが、地理と公民は、国公立理系の大学進学希望者が受験科目として利用します。国公立の大学に進学したい人は多いですが、実際に合格できる人は、10~20人に1人くらいです。ですから、文系の大学進学を希望するのなら、特に歴史に強くなっていく必要があります。高校で日本史や世界史を得意科目にできるかどうかは、中学時代にこれらに興味をもつことができていたかが大きなポイントとなります。
敬倫塾では、毎週60分の授業でエピソード、卑近な例、時事問題を披露し、社会という教科が好きになれるよう工夫しています。
ところで、社会は、中学1・2年生で、歴史と地理の両方を授業しています。ある学校では、歴史から指導し始め、また、他のある学校では、地理から始めています。このために、複数の中学校から通っている生徒の塾では、進度や分野が異なるため、一斉指導が困難な場合が多いのです。そのため、社会科を楽しくするための一斉指導は行っていないのが普通です。また、理科のように考えて問題を解くというケースは非常に稀なため、暗記するしかないと思われがちです。しかし、丸暗記というものは、一過性ですから、試験が終了すると、やがて記憶から消去してしまいます。こういうことを防ぐためには、社会の勉強を毎日コツコツしておき、春休み、夏休み、冬休み等に復習をすることが大事です。敬倫塾では、そのように配慮しています。
ところで、現在、歴史に関しては、多くのものが漫画の題材になっています。この漫画に出てくるエピソードは、必ず史実に忠実なものではありませんが、大事なことを覚えるための良い味付けになっています。私は、漫画日本史などは大賛成です。