新しい学習指導要領の改訂点(理科と社会)

今月は理科と社会について触れさせて頂きます。

理科

今回の学習指導要領では「自然災害」が新たな単元として加わりました。さらに学習単元が再編され、各学年で新たに学習することになったのは、以下の単元となります。

(中1)

① 2力のつり合い ← 中3から移行

② 動物の体の共通点や相違点 ← 中2から移行

(中2)

① 放射線 ← 中3より移行し、また中3時にも再度学習

② 電気による発熱 ← 小学校から移行

③ 大気圧 ← 中1「圧力」を細分化して移行

④ 葉・茎・根のつくりと働き ← 中1より移行

(中3)

① 水圧・浮力 ← 中1「圧力」を細分化して移行

② 生物の種類の多様性と進化 ← 中2より移行

単元の移行に合わせて、各学年に重点的に扱う過程として、中1は「問題を見いだす」・「見通しをもつ」こと、中2は「見通しを持って解決する方法を立案する」・「分析して解釈する」、そして中3では「分析して解釈する」・「探求の過程を振り返る」ことを取り上げています。これは、次年度が高校の学習指導要領が改定される年になり、ここで新たな教科として「理数科」が新設されますが、この理数科は、「数学的・理科的な見方・考え方を豊かな発想で活用したり、組み合わせたりしながら、探求的な学習を行う教科」として位置づけられています。高校での学習指導要領の変更に合わせて、中学校も変更がされていることを念頭において下さい。

社会

今回の改訂で、地理分野が従来までの「世界の様々な地域」と「日本の様々な地域」の2項目から「世界と日本の地域構成」「世界の様々な地域」「日本の様々な地域」の3項目に変更されます。しかし、地理の学習配当時間が従来の120時間から115時間へ減少します。そして、この地理の5時間分は歴史に充当され、従来の130時間から歴史は135時間へ増加することになります。

前々回の学習指導要領の改訂より、大正時代以降の歴史は中3生の1学期で学習することになりましたが、その結果、公民の経済分野が、理解が求められる内容が多いにも関わらず、短時間で進めざるを得ない状況が続いていました。今回の変更では、歴史は世界史内容が増加します。中学校の現場では、今まで以上に公民へのしわ寄せが出てくることが予想されます。

学習指導要領から見えること

今月まで、各科目における特性からそれぞれの教科について触れさせて頂きました。今回の中学校の学習指導要領から見えることは、「今まで以上に中高の接続が重視された改訂である」ということです。「塾」は一般的には中学生が中心です。ですから、その先にある「高校」への視点が弱い場合がありますが、本校では、大学入試の最初の関門である「大学入学共通テスト」をはじめ、専門科目では国公立大学二次試験まで対応する高等部クラス授業の担当者が中等部クラス授業を担当しています。今回の学習指導要領が中高の接続を重視する前から、高校との接続性を踏まえた授業運営をしていますので、ご安心下さい。

(本校 鈴木)