変わっていく高校入試の英語
2018年3月~2019年2月に、私は黒川校で中学3年生と中学1年生に英語を指導しました。
3年生の指導については、従来との差はほとんどありませんでした。ところが、中学1年生の指導には、とても苦労しました。小学5年生から英語の指導が始まっていることが原因ですが、中学1年生の4月から学ぶ英単語の数が、信じられないほど多いのです。従来の英語教育では、新出単語が少なく、その代わり簡単なルールからきちんと指導することに重点がおかれていました。
その主なものは2つです。
- 文の最初は必ず大文字で始める。
- 固有名詞(人名、地名、国名等)は、文の途中であっても大文字で始める。
このあたり前のルールがのみこめない人が信じられないくらい多いのです。知っている単語の数は多くなっていますが、ほとんど英語で書くことができません。ルールを知らずに単語だけは覚えて来たのですが、書けないということは致命的なことです。
興味深い報告があります。
小学校外国語活動(5・6年生)の成果・効果について。
(中学1年生対象調査結果より)
「小学校の外国語活動でもっと学習しておきたかったこと(中1)」として、
生徒の 83.7%が「英単語を書くこと」
80.9%が「英語の文を書くこと」
80.1%が「英単語を読むこと」
79.8%が「英語の文を読むこと」
と回答しています。
中学生になると、文法を学習することになりますが、語彙(単語力)が定着していないままで新しいルールをどんどん教えようとしています。
また、単語の数がふえたにもかかわらず、何とか意味は覚えたものの、ほとんどまともに書けないという中学生の割合は大きくなって来ているようです。定期テストは、教科書をきちんと理解しているだけでは高得点がとれなくなって来ます。
また、高校入試の問題では、英語そのものの学力だけでなく、社会全体の事を知っていなければならなくなっています。
【 2019年公立高校入試問題にみる「社会的視野」を扱う素材 】
(北海道)〔素材文〕海岸のゴミを減らすのにできること。
(岩 手)〔英作文〕身近な電化製品がどのような影響を与えているか。
(埼 玉)〔素材文〕高齢者が仕事にやりがいを感じる社会。
(富 山)〔英作文〕(グラフを見て)「日本の中学生は新聞を毎日読むべき」に賛成?反対?
(石 川)〔素材文〕少子高齢化が進む街のためにできること。
(愛知A)〔素材文〕コミュニケーションスキルを上げるには。
(京 都)〔素材文〕発展途上国に対してできるのは寄付だけじゃない。
こういった話題に関する出題は、どんどんふえています。英語の基礎学力のついた人には、入試で高得点がとれるよう、こういった事柄に関することを、クラス指導や中学3年生の夏期講習でとり上げます。
また、英検等の成績が入試に加点されるようになります。
大学までの進学を考えている人は、英語が現代社会における問題と密接な関係になっていることをしっかり受けとめて下さい。