愛知全県模試の特徴

今年は今までに比べ、全県模試の塾外生受検者はかなりの数です。こういった人達の多くは、どこかの塾に所属しています。その塾では模試を実施していないのでしょうか。いいえ、塾独自の模試は存在しています。しかし、あえて全県模試を受検します。こういった現象の理由は一体何なのでしょうか。模試には、それぞれ特徴があります。敬倫塾は、長く全県模試を利用しています。この模試のメリットとデメリットについてお話し致しましょう。

( 全県模試誕生のいきさつ )

私が中学生の頃には「中統テスト」というものがありました。このテストを、高校進学希望者のほぼ全員が受け、模試を完全に独占していました。ところが、ある時期に、受験戦争をあおる業者のテストは好ましくないという見解が発表され、中学校は、この「中統テスト」の受検を強制しなくなってしまいました。これは、模試業界の激震となりました。圧倒的なシェアをもっていた「中統」は重大な危機に陥りました。その危機の際に、内部分裂が起き、「新統」という業者テストの会社ができました。どちらの会社も、支持母体である中学校を失い、塾の支持を得ようと懸命でした。そんな頃に、県外の大手塾の愛知県進出が顕著になりました。その塾は独自の模試をもち、三河を中心として、多くの高校受験者に利用されていました。この塾の強大さに対抗するために、愛知県の公立高校入試に特化した模試を作ろうと、教材会社を中心に多くの学習塾が協力しました。平成の初期のことです。愛知全県模試は、ある教材会社が主催していますが、いろんな塾の知恵や要望を活かそうとしています。

( メリット )

公立高校の合否判定には、2つのものが関係します。1つは通知表の合計点で、もう1つは入試における学力検査の点数です。

令和5年度入試からの改善があっても、合格者の選抜方法に変更はありません。高校入学者の選抜方法は3つのタイプがあります。通知表の評価を重視する、学力テストを重視する、どちらも同等にみるの3つです。進学校のほとんどは学力テスト重視です。

このような高校のタイプを考慮し、全県模試は合否を判定しています。更に、膨大な追跡資料がありますので、合否判定の精度は非常に高いと言えます。

( デメリット )

全県模試は、愛知県の公立高校入試に特化していますので、問題の難易度、出題傾向には充分の配慮がなされています。しかし、レベルの高い問題を出す私立高校の合否判定は全く無理です。東海・滝・愛知の選抜の合否判定を望むのなら、他の模試を受検するのがよいかも知れません。  1つの模試で公立高校、難関私立高校の合否を判定できるということはありません。公立高校進学を第一としている人達にとっては、全県模試の受検は必須であることは、今後も変わらないでしょう。