公立高校入試の変更点が明らかになってきました

9月14日に愛知県教育委員会で、愛知県公立高等学校入学者選抜方法協議会議が開催され、一部具体的な変更点について発表されました。今月はそちらの内容についてお伝えをします。( ※参考は省略、下線は鈴木による編集。 )

全日制課程における新しい入学者選抜制度については、次のとおりとする。

1.一般選抜における校内順位の決定方式について

(1) 調査書の評定得点と学力検査合計得点による「A」「B」の区分は、行わない。
(2) 調査書の評定得点と学力検査合計得点の比率は、現行のⅠ、Ⅱ、Ⅲの3通りの方式に、新たに評定得点を2倍する方式及び学力検査合計得点を2倍する方式を加えて5通りとし、各高等学校があらかじめ選択する。  
(3) その他の事項は、現行どおりとする。

2.特色選抜について

(1) この選抜を実施することのできる高等学校・学科及びこの選抜に出願することのできる者は、次のとおりとする。

ア 農業、工業、商業、水産、家庭、看護及び福祉に関する学科
 当該高等学校・学科の特色ある教育内容を理解し、その教育内容に関連する明確な進路目標と当該高等学校・学科で学習する強い意欲を有する者

イ 理数、体育、外国語、国際教養に関する学科及び総合学科並びにコースを設置する若しくは特色ある教育課程を有する普通科 
 自然科学、人文・社会科学、スポーツなど特定の分野で優れた能力と顕著な実績を有する者

ウ 地域に根差し、地域貢献を特色とする高等学校 
 当該高等学校で学習する強い意欲と地域社会に貢献する意志を有する者

(2) この選抜の実施の有無は、当該高等学校長が決定する。

(3) この選抜実施時期は、一般選抜よりも早い時期に実施する推薦選抜と同じとし、各高等学校の実情に応じて1日又は連続する2日間で実施する。

(4) この選抜と推薦選抜は、併願できないこととする。

(5) この選抜の定員は、推薦選抜とは別とし、当該高等学校・学科の募集人員の20%程度までを上限に、当該高等学校長が実情に応じて具体的な枠の人数を定める。

(6) この選抜の入学検査は、面接を必須とし、これに加え、各高等学校・学科の実情に応じて、作文、基礎学力検査、プレゼンテーション、実技検査から一つを当該高等学校長が選択して実施する。
  なお、面接の方法や日程等、面接の実施に関する必要な事項は、当該高等学校長が定める。ただし「自己の特性などを1分間程度で答えさせる質問」及び「グループ討議」は行わないこととする 。これらを行わないことについては、推薦選抜及び一般選抜も同様とする。
  また、実技検査の内容は、現行で行われているものとする(音楽科及び美術科で行われているものは除く )。

(7) この選抜の出願に当たっては「入学願書」、「調査書」等の一般選抜の出願に要する書類に加えて「志望理由書」を志願先の高等学校長に提出する。

3.その他の選抜

(1) 推薦選抜について

ア この選抜を全ての高等学校・学科において実施すること及び合格者数は、現行どおりとする。

イ 上記2(1)アに伴い、推薦は農業科と水産科のいわゆる後継者推薦のみとする。

(2) 全日制単位制高等学校にかかる入学者選抜について

ア この選抜の実施時期は、一般選抜よりも早い時期に実施する推薦選抜と同じとする。

イ この選抜と特色選抜及び推薦選抜は、併願できないこととする。

ウ この選抜の学力検査は、基礎学力検査とする。

エ その他の事項は、令和2年度の本協議会議のまとめのとおりとする。

(3) 外国人生徒及び中国帰国生徒等にかかる入学者選抜について

ア この選抜の実施時期は、一般選抜よりも早い時期に実施する推薦選抜と同じとする。

イ この選抜と特色選抜及び全日制単位制高等学校にかかる入学者選抜は、併願できないこととする。

ウ その他の事項は、現行どおりとする。

4.実施時期

 新しい入学者選抜制度の実施時期は、1から3までを含め、令和5年度入学者選抜からとする。


◇ 解 説
( 諮問理由 )
1.令和2年1月の本協議会議のまとめを受け、同年6月に愛知県公立高等学校入学選抜制度の改善に関する検討会議(以下「検討会議」という )を設置し、同年11月に全日制課程における新しい入学者選抜制度の大枠についてまとめを得た。
 検討会議のまとめでは、一般選抜において2校に志願できることは現行どおりとしつつ学力検査は1回とすること、一般選抜の面接の有無は各高等学校の裁量とすること、一般選抜における校内順位の決定方式は各高等学校・学科の特色がより生かせるようにすること、一般選抜の合格者発表日は現行よりも早めるよう努めること、推薦選抜は一般選抜よりも早い時期に実施すること、新たに「特色選抜」を設けること等が示された。
 これらのうち、一般選抜における校内順位の決定方式と特色選抜等については、具体的な内容を定める必要があるため、今年度、諮問することとした。

( 一般選抜における校内順位の決定方式 )
2.一般選抜における校内順位の決定においては、調査書の評定得点と学力検査合計得点の累積人数がともに各高等学校の定める基準人数内にある者を「A」、それ以外の者を「B」とし、校内順位の決定は「A」、「B」の順で行っている(参考1)。
 このような「A」と「B」の区分は、実質的に受検生の合否に影響がなく、また、より分かりやすい制度とするため、新制度では行わないこととした。
 なお「A」と「B」の区分を廃止することによって、評定得点と学力検査合計得点の重み付けが変化することはない。

3.校内順位を決定する際に、各高等学校が選択して用いている評定得点と学力検査合計得点の比率については現行のⅠ、Ⅱ、Ⅲの3通りの方式(参考1)に加えて、「評定得点を2倍」する方式と「学力検査合計得点を2倍」する方式を新たに設けて5通りとし、各高等学校・学科の特色をより生かすことができるようにした。
 なお、これらの方式を適用することによって、合否に関わる影響を受ける可能性があるのは、合否ライン付近に位置する受検生のみである。

( 特色選抜 )
4.特色選抜を実施する高等学校・学科は、① 農業や工業を始めとする全ての職業学科、② 理数・体育・外国語・国際教養に関する学科、総合学科、コースを設置する普通科、特色ある教育課程を有する普通科、③ 地域に根差し、地域貢献を特色とする高等学校とした。また、特色選抜を実施するかどうかは、高等学校長が決定することとした。
 なお、上記①は、現行の推薦選抜における推薦(参考2)を特色選抜に移すこととしたものである。
 音楽科と美術科については、現行の推薦選抜における推薦(参考2)がすでに特色選抜と同等の機能を有していることから、特色選抜を実施しないこととした。

5.特色選抜の実施時期は、この選抜の特性を考慮し、一般選抜よりも早い時期に実施する推薦選抜と同じとした。
 また、特色選抜と推薦選抜は併願できないこととした。

6.特色選抜の定員枠は、当該高等学校・学科の募集人員の20%程度までを上限とし、その範囲で、実施校が実情に応じて「○人程度まで」というように具体的な人数の上限を定めることとした。
 また、推薦選抜は現行どおり全校・全学科で実施し、定員枠(合格者数)も現行どおりとすることを踏まえ、一部の高等学校・学科で実施する特色選抜の定員枠は、推薦選抜とは別にすることとした。

7. 特色選抜の入学検査は「面接」を必ず行い、これに加えて、「作文、基礎学力検査、プレゼンテーション、実技検査」の中から、学科等の特色を踏まえて実施校が一つを選び、行うこととした。

8.特色選抜における面接の方法等は、実施校で定めることとした。
 ただし、新制度では、特色選抜、推薦選抜ともに一般選抜とは別日程で早い時期に実施することから、現行に比べて受検生一人当たりの面接時間を確保することができる。そのため、現行の推薦選抜で行っている「自己の特性などを1分間程度で答えさせる質問」は、新制度では、推薦選抜を含めて行わないこととした。

9.特色選抜の出願書類は「入学願書」と「調査書」に加え「志望理由書」を提出することとした。受検生本人が受検する高等学校や学科で学びたい意欲などを「志望理由書」に記載し、その内容を踏まえて面接を行うことで、より有効な選抜資料を得ることが可能となる。

10.農業科と水産科においては、平成28(2016)年度までの旧制度では「将来、農業、又は水産に関する職業に就く、若しくはこれらの後継者となる意志を有する者」を対象として「後継者推薦」が行われていた。「後継者推薦」は、現行では、全ての職業学科で行われている推薦の中に取り込まれているが、現行の推薦を特色選抜に移すこととしたため、「後継者推薦」は新制度における推薦として改めて位置づけることとした。(参考2、参考3)
( 全日制単位制高等学校にかかる入学者選抜 )
11.令和4(2022)年度から全日制単位制に改編する県立守山高校と県立幸田高校において、不登校経験のある生徒を対象として実施する「全日制単位制高等学校にかかる入学者選抜」(以下「全日制単位制選抜」という)は、不登校経験のある生徒の状況等に配慮し、新制度では、早期化される推薦選抜と同じ日に実施するとともに、学力検査は「基礎学力検査」とした。
 また、全日制単位制選抜と特色選抜・推薦選抜は、併願できないこととした。

( 外国人生徒及び中国帰国生徒等にかかる入学者選抜 )
12.「外国人生徒及び中国帰国生徒等にかかる入学者選抜」(以下「外国人生徒等選抜」という )については、昨年の検討会議のまとめにおいて、一般選抜の日程の中で実施している現行の日程を改め、早い時期に実施する、とされていることから、推薦選抜・特色選抜・全日制単位制選抜と同じ日に実施することとした。
 また、外国人生徒等選抜と特色選抜・全日制単位制選抜は、併願できないこととした。

( 新制度の実施時期 )
13.昨年の検討会議のまとめには、一般選抜における校内順位の決定方式と特色選抜の実施時期については、本協議会議における検討状況等を考慮し、柔軟に取り扱うことを可能とする旨が記されているが、協議の結果、当初の予定どおり、現在の中学校2年生が受検する令和5(2023)年度入学者選抜から、新しい制度により実施することとした。

このように、前回にはまだ判明していなかった特色入試の実施は現在の中2生からの実施となりました。現時点で理解しておくことは、特色選抜と推薦選抜は実施日が同じになるため併願ができないことになります。つまり、受験機会が増えることにはつながっていません。また通常の普通科では特色入試は実施しないことになります。この点を踏まえて、ここからは個人的な推測を述べさせて頂くと、特色選抜と推薦選抜が実施される科については、一般選抜の定員が大幅に減少することが考えられるので、一般選抜が厳しくなる可能性が高くなりそうです。向陽高校の国際科学、千種高校の国際教養、瑞陵高校の理数科、名東高校の国際英語などが該当します。

これらの専門的な科やコースに進学を考えている中2生の皆さんは、一般選抜だけでなく、これらの選抜方法を視野に入れて進学を意識するようにして下さい。(本校 鈴木)