2025年の新課程大学入試における「主体性の評価」と「調査書」は?

 今年度の中3生が今後迎える新課程の大学入試では文部科学省で開催されていた「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」が終了し、3 月 31 日にその「審議のまとめ」が公表されました。今月はその内容を確認していきます。

1.「主体性」の評価どうなっているのか?

学力の3要素は「知識・技能⇒知識系」「思考力・判断力・表現力等⇒思考力系」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度⇒主体性」になりますが、文部科学省が2020年6月に発表した選抜実施要項では「(大学は高校に)記載を求める」となっていましたが、大学側に提出する書類に記入の必要がないものが大半になっています。

審議のまとめでは、具体的な方向性は示されていないので、現状通りでそれほど重要視されることが無いものになりそうな様子です。

2. 調査書の記載項目は?

小中学校では科目の観点別評価は従来までの4 項目から3 項目に変更されましたが、高校でも検討されていた観点別評価については見送られています。「指導上参考となる諸事項」は、2021年入試から記入欄を各学年で6つに分割して記入するようになりましたが、新課程入試では記入欄を1つに統合し、箇条書きへと変更になりました。「備考」の項目は2021年新入試では保健体育や芸術など特定の分野について、大学は高校に求めることができるようになっていますが、新課程入試では、この扱いを廃止して、本人記載の資料で対応することに変更されます。

また、これまでの「評定平均値」は、「学習成績の状況」に名称が変更され、「全体の学習成績の状況」、つまり入試でよく使われてきた全体の評定平均値は新課程入試で見直すとされていたのですが、その活用方法は大学で独自に判断するものとされています。

3. 調査書の電子化

調査書の電子化は実装時期が白紙となりました。電子化は文科省の委託事業で関西学院大が代表校として研究が進められ、当初スケジュールは2023年入試(2022 年度実施)で電子化して原則全大学の全入試で活用となっていましたが、新課程入試にあわせて2025年入試に延期するとの発表がありました。これは、デジタル庁の創設に伴う変更であると考えられます。

現在、コロナウィルス関連のニュースばかりで、テレビや新聞では教育関連に関する報道がほとんどなされていません。この紙面において、また様々な状況についてお伝えをさせて頂きますので、ご参考にして下さい。

(本校 鈴木)