医学部に市立校枠

〔中日新聞 平成30年10月19日(金)朝刊より〕

名古屋市立大学医学部(同市瑞穂区)は2021年の入試から、市内の市立高校生(*1)の生徒3人の推薦枠を新設する方針を決めた。市立校に限定した医学部の推薦入試は全国的にも珍しい。名市大は高校と大学の教育を円滑につなぐ「高大接続」を目的に市立高生向けの講座を開いており、少子化が進む中、適性や意欲の高い若者を確保したい考え。

医学部は定員97人。関係者によると、新たな推薦入試では、センター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」(*2)の得点を基に一次選抜を実施。二次選抜の面接で適正を調べる。また、今回の推薦枠とは別に、現在中部九県の高校生20人を対象にした推薦入試でも募集枠の拡大を検討しているという。

医学部は近年人気が高く、特に学費の安い国公立大の入試は難易度が非常に上がっている。 
(中略)

名市大では15年ほど前から、理系学部を中心に市立高の生徒に教員の実験・実習を交えた講座を開講。医学部でも60人の生徒を対象に、脳神経生理学や再生医学を教えるなど連携を進めてきた。

新設する推薦枠では、これらの講座に参加した生徒を念頭に、適正や意欲を考慮しながら選抜したい考え。医師免許取得後の数年間は、名市大の指定する病院での臨床研修などを義務化した上で、国内外で活躍する人材の輩出を目指したいとしている。名市大では来春の総合生命理学部(*3)の入試から、文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール」(*4)に指定されている市立向陽高校国際科学科(*5)の生徒に限定した指定校推薦枠(1人)を新設することも決めている。

(*1)市内の市立高校   向陽、菊里、桜台、名東、北、山田、富田、 緑

(*2)大学入学共通テスト
センター試験は、2019年度(2020年1月)の実施を最後に廃止され、2020年度(2021年1月)からスタートする。 今の高校1年生(2018年4月時点)から、 この共通テストは受験することになっている。
「センター試験」との違い
現行のセンター試験は、全てマークシート方式で実施されているが、共通テストでは一部で記述式問題が導入される。当初は国語と数学で実施され、2024年度以降からは地理歴史・公民や理科分野に広げることが検討されている。また、英語は「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を評価するため、実施方法を含めて大きく変わる。

(*3)名古屋市立大学総合生命理学部
生命科学、物理学、化学といった自然科学、更に数学、情報科学を含む理学の基礎を総合的に学ぶ。

(*4)スーパーサイエンスハイスクール指定 (名古屋市)
明和、向陽、名古屋大学付属、名城(私立)

敬倫塾塾長 加藤敬志
2018年11月15日号