変わりつつある大学入試

昨年は、英語の民間試験導入に関して結局、きちんとした方向が定まりませんでした。しかし、日本が大学入試のあり方を変えつつあることは確かです。センター試験に問題が提起され「共通テスト」の実施がいよいよ始まります。また、AO入試のあり方に問題が指摘され、これも変わろうとしています。朝日新聞(2020年7月26日号)を参考にして記事を書こうと思います。

国公立大私立大
AO入試(2000年度)0%2%
     (2019年度)   4%12%
推薦入試(2000年度)  11%37%
     (2019年度)16%43%
一般入試(2000年度)  87%60%
     (2019年度)80%46%

(年度は、入学年度を指します。)

上の表から、国公立大学のAO・推薦入試による合格者の割合が11%から20%に増加し、私立大学のそれらは、39%から55%に増加していることがわかります。特に、私立大学は定員の半数以上をAO・推薦入試で集めています。ここで問題になってきたのは、私立大学のAO入試による合格者数です。2%から12%とすごい伸びです。次回で触れますが、AO入試では、一般的に高校での学力を問題としません。そのため、大学入学後に、大学としての教育についていけない学生が顕著となって来ています。特に、英語・数学の学力不足は多いようです。AO入試では、学力の低い学生の割合が高いので、私立大学の質の低下は否めません。それを補充するために、私立大学では、一般入試では学力レベルの高い学生を獲得しようとしています。学費免除等の特典をいろんな私立大学は設けています。このため、一般入試で私立の大学の合格を勝ち取るのは、以前に比べて難しくなって来ています。また、AO入試を利用する人達にも日頃の学習が必要となって来ます。普通科に進学した人達のほとんどは大学進学を考えていたと思います。やり直すことが難しい学生生活を大事に過ごして下さい。

2020年度から2021年度にかわるのは、新型コロナウイルスの影響も重なり、出願時期が1月半遅くなったことと、AO入試・推薦入試の呼称がそれぞれ総合型選抜・学校推薦型選抜に変わり、従来の「大学が求める学生像(アドミッション・ポリシー)に沿って書類や面接で意欲や適性を評価」したり、「高校の調査書や小論文、面接などで人格を評価」することに加え、教科テストなどで『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』を問うことが必須になりました。

ところで、「学校推薦型」は、大学側が指定した特定の高校の生徒だけが応募できる「指定校制推薦」と、そうした枠がない「公募推薦」に大別されます。前者は応募できる人数が限られるため、出願前に高校内で選抜があります。これで応募できると、合格の可能性は90%以上です。後者は基本的に誰でも出願でき、総合型と似ています。いずれも総合型と同様に、書類審査、小論文、面接等により選考されます。「学力も重視」という流れの中で、総合型・学校推薦型ともに選抜時に学力を測ったり、大学入学共通テストの受験を課したりする傾向にあります。