心配な日本の英語教育

中学校の教科書は4年毎に見直されます。今年は改訂期にあたります。私は現在、3つの校舎で数学と英語を指導していますが、中学校1年生の英語の教科書の変わり方にびっくりしています。保護者の皆様方が中学で学んできたものと大きく変わりました。

1. 単語数の大幅増加

現在、小学校で英語を学習しています。そのため、いろいろな物の名前(名詞)が、新しい教科書には、すでに学習済みということでいっぱいでてきます。いままで、その言葉を知っていても、それをどのように英語で書くかということは余り教えられてはいません。敬倫塾では、3月に、「フォニックス」のルールを指導し、こういう発音なら、どういったスペルになりそうかを指導しています。しかし、この学習法は、学校でていねいに行われているとはいえないでしょう。そのため、英語で表記することが苦手な生徒の割合は高くなっています。

2. be動詞の使い方が徹底されていないのに、一般動詞が出てくる。

beの動詞は、主語によって使うものが決まっています。しかし、初めは、一人称であるIと、二人称であるyouだけの例を出します。名詞には数えられるものとそうでないものがあり、数えられるものが単数なら、a(an)をつけるということをきちんと覚える前に一般動詞がでてきます。一般動詞には、「三単現のs」というものがありますが、「人称代名詞」をきちんと理解していない状態で、どんどん新しい表現が登場します。そのため、「三単現のs」をつけ忘れる生徒の割合は以前より高くなってきています。

3. 一年生なのに第5文型まででてくる。

英語には5つの文型があります。「文型」という知識があれば英作文を苦手とする生徒はほとんどいなくなると思うのですが、その説明はほとんどない場合が多いようです。文型について少し触れてみます。英語には4つの要素があります。S(主語)、V(述語動詞)、O(目的語)、C(補語)がそれらです。

 第1文型  S + V

 第2文型  S + V + C

 第3文型  S + V + O

 第4文型  S + V + O + O

 第5文型  S + V + O + C

1年生の教科書の最初はUnit 1です。ここに出てくる文型を紹介しましょう。

I’m  Margaret Brown.(第2文型)

Call  me  Meg.(第5文型)  

I like  Japanese  food.(第3文型)

第1文型や第4文型はでてきませんが、今までは高学年で学習した、第5文型がもうでています。

また、頻度を表す副詞oftenがでてきます。そして、助動詞canもでてきます。

このように、中学1年生になったばかりなのに、難しい事柄が信じられないほどたくさんでてきています。これでは、英語・数学・国語・理科・社会の5教科の中で、英語の学力差が一番顕著になるのではと思います。