2025年実施の新課程共通テストの最新情報

 概要

9月29日に文科省より「共通テスト実施大綱の予告(補遺)」で各教科の試験時間、経過措置について、また、10月1日大学入試センターから「共通テストに関する検討状況」によって、試作問題と今後のスケジュールについての発表がありました。新課程入試では、国語の試験時間が80分から90分、数学②(数ⅡB)の試験時間が60分から70分に延長されることが発表されました。また新設教科である「情報」は60分で実施されることになります。

なお、浪人生に対しての経過措置は、「地理歴史」・「公民」・「数学」・「理科」・「情報」が実施されます。

試験時間が変更される教科・科目

【 国語 】

共通テストに変わった国語では、複数の文章等を出したうえで、それぞれを比較検討しながら解答する、「思考力」系の出題傾向が強まりましたが、今回の試験時間延長は、このような出題をさらに工夫し、問題量を増やすための措置として考えられます。ですから、受験生はこれまで以上にこうした問題への対応が求められることになります。そして、注意が必要なのが、大学入試センターによれば現在の「現代文(近代以降の文章)で2問」「古文1問」「漢文1問」の大問構成について、増える可能性も示唆していることです。国語は従来までのセンター試験、そして今年実施された共通テストとも、試験時間内で対応することが難しい教科です。このような現状から、大問が増える可能性があるということは、今後は従来以上に試験時間内での対応が難しくなる可能性も高くなると言えるでしょう。

【 数学 】

国語と同様に数学②(数ⅡB)も70分に延長されますが、これは、現行課程で「数Bの2項目選択解答」する形式から、新課程入試では「数Bと数Cで3項目を選択解答」となることに伴うものです。数学①(数ⅠA)は今年実施の共通テストから70分に延長されているので、これで数学①②ともに試験時間は70分で揃うことになります。

【 理科 】

従来まで別枠であった基礎科目と発展科目の試験枠を統合することになります。これによって捻出した1コマ(60 分)を新設の情報に充当することになります。

※ 外国語(英語)は「(名称ナシ)=80分」「IC プレーヤーを使用する試験=30分」と表記されています。試験時間についての変更はありません。共通テストでは「リーディング」・「リスニング」となっていますが、今回の表記は、「リーディング」「リスニング」に特化したイメージが強調されすぎないように配慮したことから「リーディング」「リスニング」という表記を敢えて避けているようです。

試作問題について

  今後、「地理歴史」・「公民」・「数学」・「情報」についての作成が行われ、来年の秋冬で公表されます。ここで、科目全体の構成と配点が判明してきます。また、新教科の「情報」については、経過措置用の既卒生向けの問題も公表されることになっています。新科目となる「地理総合」・「歴史総合」・「公共」・「情報」については、3月にサンプル問題が公表されていますが、これらは教科書の検定が完了する前に作成されたものであるため、改めて作成する運びとなっています。

経過措置(既卒生のみ選択可能な旧課程の問題を用意する措置)について

【 地理歴史、公民 】

・既卒生用の科目が用意されます。

⇒ 「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」

【 数学 】

・既卒生用の科目が用意されます。

⇒ 「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」「数学Ⅱ」「数学Ⅱ・数学B」「簿記・会計」「情報関係基礎」

・試験時間が延長となる数学②(Ⅱ、ⅡB、簿記会計、情報関係基礎)は、経過措置科目も70分で実施。

【 情報 】

・既卒生用の科目を用意するか、大問レベルでの対応になるかは今後検討。

・現行課程の必履修科目「社会と情報」「情報の科学」で対応可能な出題とする。

・情報は情報Ⅰと経過措置の問題との間における得点調整は未定。

【 理科 】

・必要に応じて大問レベルで対応。

このように英語・国語では経過措置が無く、理科は専用の問題が作成されません。いずれにせよ、高1生が浪人してしまう場合には不利な点が多くなることを理解しておく必要があります。( 本校 鈴木 )